– F県・築30年・45世帯マンションの実態 –
ある管理組合で、元理事長が住む住戸で漏水が発生したという報告があった。管理会社が連絡を受け、管理組合として「漏水調査」を実施。その費用は約40万円。修理については住戸所有者である元理事長の負担とされたが、なぜか「調査費用」は組合費から支出されていた。
問題は、その調査の透明性である。
まず、管理会社は「漏水調査として水圧試験を実施した」と説明したが、実際に水が漏れている状況で水圧試験が必要なのかという疑問がある。しかも、調査を実施した記録としての調査報告書は一切提出されていない。
さらに不可解なのは、「内視鏡による調査も行った」とされているにもかかわらず、その結果に関する文書も写真も組合に共有されていない点だ。共有されたのは、「床下に水が溜まっている」と記載された管理会社からのメールのみ。しかし、水が溜まっている様子が写った写真は一枚も存在していない。
また、実際に確認された水道メーターの数値に変化がなく、漏水を裏付ける客観的証拠が無いこともわかっている。
最終的には、元理事長が加入していた火災保険から給付金が支払われた。しかし、「保険が出たから良かった」という話では済まされない。保険金が支払われた分、管理組合全体の保険料が今後上がるリスクがあるからだ。
この件を疑問視した現理事長が管理会社に詳細を問い合わせても、明確な回答は得られなかった。管理会社が一体どこまでこの案件に関与し、どのような経緯で調査や保険申請が行われたのか、いまだに不透明なままである。
💡教訓・学びポイント
- 「保険が出たからOK」では済まされない。組合全体の今後の負担を冷静に見ること。
- 調査をするなら報告書や写真などの記録を必ず残し、開示を求める。
- 住戸内事故は原則本人負担。組合費からの支出には理事会の承認が必要。
- 理事長であっても、特権的に扱われることがあってはならない。
🔍【補足解説】
水道メーターが動かない=漏水していない可能性が高い理由とは?
漏水事故が本当に起きていたかどうかを見極める重要なヒントになるのが、水道メーターの動きです。
▶ そもそも水道メーターって何を見てるの?
水道メーターは、その住戸でどれくらい水が使われているかをリアルタイムで記録しています。
つまり、誰も水を使っていない状態(蛇口もトイレも使っていない)でメーターがカタカタと回っている場合、どこかで水が漏れている可能性が高いのです。
▶ 逆に、水道メーターがピクリとも動かないなら?
漏水が本当に起きているなら、水道管からどこかに水が出続けている=微量でも水が流れ続けている状態になります。
その場合、水道メーターの中央にある「パイロット」という小さな赤い針(または銀色の円盤)がクルクルと動くはずです。
ところが、今回の事例では調査時に水道メーターが完全に静止していたことが判明。
つまり、水がどこからも出ていない=漏水している可能性は非常に低いと判断できるのです。
✅ 結論:
水道メーターの動きは、漏水の客観的な証拠になります。
・動いていれば → どこかで水が流れている(漏水の可能性あり)
・止まっていれば → 水は流れていない(漏水の可能性なし)
それなのに、水道メーターの静止を無視して「床下に水が溜まっていた」とだけ主張され、報告書もなしに40万円の組合負担。これは、事実と合わない調査・申請がなされた可能性があると言えるでしょう。
💧【補足解説②】
水道料金が上がっていないのに「漏水があった」とするのは、なぜおかしいのか?
漏水があったと主張するなら、それに見合った水の流出量があったはずです。
では、その「水の量」はどこに反映されるでしょうか?
── そう、毎月の水道料金です。
▶ 実際の水漏れでは、請求額に明確な変化が出る
水漏れは、「誰も使っていないのに水がどんどん流れている」状態。
たとえば仮に、1日あたり5リットルの水が床下に漏れていたとします。
1ヶ月なら150リットル。もしそれ以上の漏水(たとえばパイプの継ぎ目から常にちょろちょろ水が出ていた)なら、数百〜数千リットルの使用がカウントされます。
つまり、明らかに普段よりも高い水道料金が請求されるのが自然です。
▶ でもこの事例では、水道料金はいつも通りだった
今回の事例では、漏水があったとされる期間も含めて、水道料金の増加はまったく見られませんでした。
これは何を意味するのか?
→ 漏水による余分な水の使用が一切記録されていない
→ そもそも水は漏れていなかったのでは? という疑問が生まれます。
✅ 結論:
- 本当に漏水していれば、水道料金は必ず上がる
- それが上がっていないということは、「漏水していた」という主張に整合性がない
これは、「水が漏れていた」ことの実証的な根拠が一つもないという重要な論点になります。
