ある分譲マンションで、住民たちは管理会社の対応や経費の不透明さに疑問を抱き、何度も話し合いを重ねた末に管理会社の変更を実現。新しい会社とともに再スタートを切った――はずだった。

だが、変更からわずか3か月後、事件は起きる。

ある日、理事長に報告もなく「緊急工事」が実施されていたことが発覚。
費用はおよそ50万円。理事長がその事実を知らされたのは、工事完了から5日後のことだった。

理事長は激怒し、「無許可で工事を進めたこの業者は今後使わない」と管理会社に抗議。理事会でも多くの理事がこれに賛同し、業者の変更を求める声が上がった。

しかしこのとき、理事会内で異を唱えたのは、過去に何度も理事長を務めてきた高齢の元理事長だった。
「現理事長は冷たすぎる」「やり方が厳しすぎる」と発言し、業者の変更に反対。結果、現理事長は自身の提案を取り下げざるを得なかった。

ところがその後の調査で、緊急工事が行われた当日、現場にいたのがその元理事長であったことが判明。
つまり、理事会や現理事長には報告されないまま、元理事長が個人的に管理会社へ“許可”を与え、工事が進められていた可能性が高い。

住民たちの追及により、管理会社は次の対応を行った:

  • 工事費用を50万円 → 10万円に減額
  • 無断で工事を命じた担当フロントは転勤処分

だが、疑惑はこれだけにとどまらない。

後日さらに、元理事長が前の管理会社から“キックバック(紹介料)”を受け取っていたという情報が明らかになったのだ。
新しい管理会社に対しても、同様の関係を持ちかけていた形跡があるが、今回の管理会社変更を主導した現理事長や数名の理事たちには通用しなかった。


■この事例から見える「理事会の盲点」

  • 管理会社を変更しても、古い構造は中に残っている
  • 元理事長や一部のベテラン理事による“独自ルート”が意思決定を歪めることがある
  • 「緊急工事」「住民のため」という名目で、正式な手続きを省略する動きに注意
  • 人事(担当者の配置)で責任を取ったように見せかけ、本質的な問題は温存されやすい

■まとめ:住民による“透明性の監視”が必要不可欠

このマンションでは、幸いにも現理事長を中心に問題の経緯が明るみに出された。だが、管理会社が変わっただけで安心していては、内部に潜む“旧体制の影響力”を見逃してしまう。
住民一人ひとりが、「何が、どこで、誰によって決まったのか」に注目し、
書類・議事録・工事記録の確認を習慣にしていくことが、真の再スタートの第一歩になる。


※この元理事長については、別の事例として次回に詳しくご紹介します。

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