これは、ある分譲マンション(36世帯)で理事を務めていた方から伺った話です。
築20年を迎えた頃、管理会社から「火災報知受信機の交換を検討してください」と提案がありました。
機器自体は故障しておらず、あくまで“予防交換”との説明でした。
安全に関わる設備であることから、理事会でも反対意見は出ず、特に価格の妥当性も精査されないまま、工事が実施される運びとなりました。
工事費用は約100万円。
このマンションでは、火災報知設備を扱える知人業者もおらず、相見積もりを取ることもできずに話が進んだといいます。
ところが後日、同じ管理会社が管理する別のマンション(90世帯・築20年)に住む友人宅を訪れた際、ある資料を目にします。
それは総会資料の議案書で、内容は全く同じ火災報知受信機の交換工事について。
しかし、そこに記載されていた金額は35万円でした。
使われていた機器の写真も同じ。世帯数は3倍近くあるのに、費用は1/3程度。金額の差に、理事の方は驚きを隠せなかったといいます。
さらに興味深いのは、友人のマンションの議案書の次のページには、電気工事に関する約500万円の工事提案が掲載されていたこと。
一方、当該の36世帯のマンションでは、その時点で電気工事に関する大きな提案はありませんでした。
理事の方はこう語ります。
「もしかすると、管理会社は各マンションの特性や住民の知識量に応じて、“どこで利益を取るか”を見ているのではないか。火災報知設備、電気工事、給排水…いずれかで“回収する枠”があるように感じる」
この件をきっかけに、理事の間では管理会社への不信感が徐々に高まり、最終的に築25年を迎えたタイミングで、契約を見直す判断をしたとのことです。
🔍【補足:火災報知受信機とは?】
火災報知受信機は、マンション内の各部屋や共用部に設置された火災感知器(熱・煙感知器)からの信号を受信し、警報を出す防災設備の中枢にあたる装置です。
誤作動や経年劣化があると重大な事故につながるため、定期的な点検・メンテナンスが義務付けられています。
🔁【交換の目安は?】
火災報知受信機の法定耐用年数は約15年とされています。
ただし、メンテナンスや部品交換で延命が可能なケースも多く、20年以上使われている機器も少なくありません。
予防交換が必要かどうかは、専門業者の診断に加え、複数社からの見積もりと技術的な根拠が重要です。
❗こんなケースにも注意
- 「もう部品がありません」と言われたが、実際には流通していた
- 予防交換なのに“緊急工事”扱いで相見積もりを省略された
- 別のマンションと機器・台数・築年数すべて同じなのに金額が倍以上違う
皆さんのマンションでは、設備交換時に相見積もりを取れていますか?
「安全のため」という名目で、疑問を口にしづらい設備こそ、注意が必要かもしれません。


