〜とある40世帯マンションの消防工事から考える〜
これは、築19年・40世帯規模のマンションで起こった、消防設備に関するある出来事である。
ある年、管理会社から「消防受信機の更新が必要」との説明を受けた。理事会での資料にも「機器の老朽化に伴い交換」とあり、見積金額は約100万円。専門的な内容でもあり、理事会もそのまま承認し、住民もこれに納得する形で工事は実施された。
ところが数ヶ月後、筆者がたまたま理事をしていた知人のマンション(築18年・100世帯)で、まったく同じ「消防受信機の交換」が話題になっていることを耳にした。そこで理事会資料を見せてもらったところ、なんと見積額は40万円。台数も内容も、型番までも同一だった。
当然、当マンションの見積書と並べて比較した。違いはほとんど見当たらず、明らかに金額だけが大きく異なっていた。
驚き、急いで管理会社に問い合わせたが、「物件ごとの状況によって金額は異なる」「工事時点の物価の影響」などと、あいまいな説明をされるだけで、納得できる根拠は提示されなかった。
そして何より問題なのは、そのときにはすでに工事が終わっており、費用も支払済だったことだ。
結局、私たちはその100万円という金額を支払ったまま。管理会社から明確な回答も補償もないまま、現在に至っている。そしていまだに、このマンションはその管理会社に管理を委託している。
気づかないままに、大きな差額を支払っている可能性はないだろうか。
他のマンションと比較することで、見えなかった「違和感」に気づくこともある。
情報共有と比較検討、それは管理組合が自分たちを守るためにできる最低限の武器なのかもしれない。


